【日本にF-15EX来る!】在日米空軍、機種転換で最新鋭機を配備へ【F-35】

軍事ニュース

2024年7月3日、米国防総省は在日米空軍の基地に配備されている戦闘機の近代化計画を発表1しました。日本に配備されている第四世代戦闘機のF-15C/DとF-16を、数年かけて最新鋭のF-35A・F-15EXへと機種転換します。この近代化計画は数年間にわたり、10億ドル(1.6兆円)かかるとされます。
具体的にどの基地のどの戦闘機を何機置き換えるのか、詳しく見ていきましょう。

この記事を読んで分かること

  • 在日米空軍が発表した、配備戦闘機近代化の内容が分かる
  • 最新鋭戦闘機F-15EXとF-35の概要が分かる
  • 日本に在籍する米軍の戦闘機配備総数が分かる

既存のF-15/F-16は最新のF-15EX/F-35Aに機種転換

米国防総省が発表した在日米空軍の戦闘機近代化の具体的な内容をみてみましょう。

  • 沖縄県嘉手納基地:F-15C/D 48機 ⇒ F-15EX 36機
  • 青森県三沢基地:F-16 36機 ⇒ F35A 48機
  • 配備完了までの移行期間は第4世代・第5世代戦闘機をローテーションで配備

機種転換前後で配備される戦闘機の総数は84機と変更がありません。しかし、嘉手納基地の第4世代戦闘機F-15C/Dは最新鋭のF-15EXに置き換えられます。三沢基地の第4世代戦闘機F-16は1世代新しい第5世代戦闘機であるF-35Aに換装されます。この航空機近代化計画が完了した暁には在日米空軍の戦力が飛躍的に向上し、東アジア地域の抑止力向上に貢献するでしょう。

(トリビア)在日米空軍の規模

脇道にそれますが、在日米空軍はどのくらいの規模を誇るのでしょうか。少し古い資料2ですが、2019年末時点で空軍所属の兵員数は12,602名です。在日米軍全体では55,227名なので約2割が空軍所属となります。日本にいる部隊は第5空軍であり、第5空軍司令官は中将をもって充てられ、在日米軍の司令官も兼任しています。戦闘機部隊が配備される先述の嘉手納基地、三沢基地のほか、司令部がある横田基地にも輸送機などを配備する後方支援部隊が駐留しています。

在日米軍の司令官を現行の中将から大将に格上げすることを検討している旨の発表3もされており、戦闘機の近代化も併せて米軍が東アジアにさらに注力していく姿勢が読み取れます。

新たに配備されるF-15EXとF-35はどんな戦闘機?

日本への配備が発表されたF-15EXとF-35Aがそれぞれどんな戦闘機なのか簡単に解説します。

F-15EXは米ボーイング社が開発しているF-15戦闘機シリーズの最新モデルです。従来のF-15としては”イーグル(鷲)”の愛称を持つ対戦闘機戦闘(制空戦闘)を重視したA/B/C/Dの4種と、対地攻撃能力を強化した”ストライクイーグル”の愛称を持つF-15Eの合計5種類が各国に生産・配備されています。日本でもF-15J/DJの名称で213機を調達し、航空自衛隊の主力戦闘機として防空を担っています。
“イーグルⅡ”の愛称で呼ばれることとなるF-15EXはF-15Eを発展させたモデルで、強力な対地攻撃力をさらに向上させたほか、電子機器やソフトウェアを一新しています。

出典:ボーイング社HP

F-35は米ロッキード・マーチン社が開発した第5世代の統合打撃戦闘機で、レーダーに見つかりにくい高いステルス性能を有しています。戦闘機という名称ですが、航空機との戦闘以外にも偵察、対地・対艦攻撃などの任務を幅広く遂行可能な多用途戦闘機です。第4世代の多用途戦闘機として開発されたのがF-16であり、F-35はF-16を置き換える目的で開発されたことから、今回の更新計画もサプライズというわけではありません。
なお、F-35は3タイプが開発されています。

  • ベースとなる滑走路を用いて通常の離着陸を行うA型
  • 強襲揚陸艦や軽空母、短い滑走路からでも離着陸が出来るB型
  • 大型の空母に搭載されることが想定された艦上機タイプのC型

すべてのタイプを運用予定なのは現時点でアメリカのみですが、世界各国で広く採用され、日本も航空自衛隊がF-35A型、B型の調達を行っています。
今回米空軍が三沢基地への配備を発表したのはA型であり、日本の航空自衛隊も三沢基地にF-35Aを配備済であることから、青森県三沢基地はF-35Aの一大拠点となりそうです。

出典:ロッキードマーチン社HP

在日米軍に配備されている戦闘機は空軍所属機だけではない

今回の近代化計画により、在日米空軍の戦闘機84機が最新鋭機に置き換えられますが、日本に配備されている米軍所属の戦闘機はこれだけではありません。具体的には、米海軍および海兵隊の戦闘機も日本に駐留しています。

米海軍は西太平洋を管轄する第7艦隊が横須賀や佐世保に常駐しており、原子力空母「ジョージ・ワシントン」が所属しています。この空母に搭載される航空部隊として第5空母航空団がおり、F/A-18E/F”スーパーホーネット”戦闘機約50機が配備されています。

在日米海兵隊所属の第1海兵航空団にも垂直離着陸型のF-35Bを保有する戦闘機部隊が存在しており、岩国基地を拠点にしています。海兵隊の1個飛行隊あたりの定数が分からなかったですが、2個戦闘攻撃飛行隊が配属されているので20~30機程度でしょうか。今回の国防総省の発表で、岩国基地のF-35Bも増強すると記載されていました。

よって、在日米軍の戦闘機全体としては空軍84機、海軍50機、海兵隊20~30機といったところで、合計は160機前後となりそうです。航空自衛隊の戦闘機総数が324機(2023年3月31日時点)なので、自衛隊の約5割の戦闘機が配備されていることになり、なかなかの数です。
今回は戦闘機に絞ってみましたが、戦闘機以外にも輸送機や空輸機、ヘリコプターなどがあるため、在日米軍全体の所属機数としてはさらに増えます。(そのうち調査して記事にしたい…)

結び

今回は在日米空軍所属機の機種転換についてご紹介しました。いよいよ空軍にもF-35Aが配備されることになります。海軍/海兵隊のF-35Cがいつ日本所属部隊に配属されるかはまだ明らかになっていませんが、近い将来にはF-35の3タイプすべてを日本で見ることが出来そうです。

もうすぐ見られなくなってしまう三沢基地所属のF-16を見たい方は、2024年9月8日(日)開催予定の三沢基地航空祭に足を運んでみてはいかがでしょうか。

  1. 米国防総省「Department of Defense Announces Modernization Plan for Tactical Aircraft Based in Japan↩︎
  2. 外務省作成「在日米軍主要部隊・戦力展開状況↩︎
  3. NHKニュース「米国防長官”在日米軍司令官の階級を大将に格上げ検討”↩︎
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