【やさしい軍事解説】自衛隊の階級について米軍と比較して解説!

やさしい軍事解説

ニュースやバラエティなどで自衛隊が取り上げられることが増えてきた昨今、一佐、二尉、三曹、など、階級を表す言葉を耳にする機会もあると思います。しかし、自衛隊の階級は特殊なため、パッとイメージが付きにくいですよね。この記事を読むことで、基本的な理解が深まり、他国の軍隊との比較もできるようになりますよ。

記事を読んでわかること

  • 自衛隊の階級一覧(米軍との比較)
  • 各階級の役割と責任

自衛隊の階級一覧

まず、自衛隊の階級を一覧にしてみましょう。自衛隊の階級は大きく分けて「将」、「佐」、「尉」、「曹」、「士」5つのカテゴリーに分類されます。さらに、5つのカテゴリーが細かくわかれており、合計16階級存在します。
陸、海、空の3自衛隊がありますが、階級の数は共通しており、呼称時は陸、海、空がそれぞれ付与されて呼ばれます。(陸将、2等空佐など)
なお、将・佐・尉を幹部と呼び、部隊の指揮官クラスとなります。(海外軍では士官とよびます)
准尉は准士官、曹・士は曹士と呼ばれ、基本的に現場レベルの指揮官や部隊の構成員となります。
階級はピラミッド式となり、階級が上になるほど人数が少なくなり、将官クラスとなるとほんの一握りしか昇進できません。
参考までに陸上自衛隊での階級を示しました。

将(しょう)

  • 陸将陸将補:将官として、師団や方面隊の全体指揮を担当。

佐(さ)

  • 1等陸佐2等陸佐3等陸佐:上級士官として、連隊や大隊の指揮を担当。

尉(い)

  • 1等陸尉2等陸尉3等陸尉:中級士官として、部隊の指揮や特定の任務を担当。

曹(そう)

  • 1等陸曹2等陸曹3等陸曹:下士官として、部隊の指導や管理を担当。

士(し)

  • 1等陸士2等陸士3等陸士:基本的な訓練を受けたばかりの下級兵士。

参考までに同盟国米軍の階級と並べてみました。米軍にはあるものの、自衛隊には存在しない階級があるので、完全に1対1で対応しているわけではありません。(米軍は陸・海・空・海兵隊でそれぞれ階級の名前も異なります)

自衛隊の階級米軍(外国軍)の対応階級
元帥
幕僚長たる将大将
中将
将補少将
准将
1佐大佐
2佐中佐
3佐少佐
1尉大尉
2尉中尉
3尉少尉
准尉准尉
曹長上級曹長
1曹曹長
2曹一等軍曹(軍曹)
3曹軍曹(伍長)
士長(上等兵)
1士一等兵
2士二等兵
自衛隊HPを元に作成

各階級の役割と責任について

それでは、さらに詳しく各階級がどのような役割や責任を果たすのか、陸上自衛隊を例に解説していきます。

自衛隊の将官について

将官は自衛隊の中で最も高い階級であり、大規模な部隊や組織全体の指揮を担当します。
将官の階級は将・将補の2種類とされていますが、将より上に”幕僚長たる将”という役職がおかれています。通常の将が中将格なのに対して、幕僚長たる将となると外国の大将格となり、階級章も特別なものが用意されています。大将格の自衛官は現在、統合幕僚長・陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長の4名しかいません。

  • 陸上自衛隊の将官
    • 陸上幕僚長:陸上自衛隊の最高位。
    • 陸将:陸上総隊や方面隊、師団など戦略レベルの部隊指揮官。
    • 陸将補:旅団規模の部隊指揮官。

トリビア:2025年、5人目の”大将”誕生へ

外国において大将格の自衛官は4名しかいないと述べましたが、実は1つポストが増えることが決まっています1。これが”統合作戦司令官”という役職です。
実は幕僚長の役割は防衛大臣の補佐であり、部隊の直接指揮権がありませんでした。部隊を直接指揮する自衛官の最高位は各自衛隊の中将格の将だったのですが、近年の災害派遣や部隊運用の在り方から、各自衛隊をより密に連携させる必要が生じています。
そこで、陸海空の自衛隊を一元的に指揮できる常設の”統合司令部”が令和6年(2025年)度中に新設されることになりました。この司令部の指揮官が”統合作戦司令官”であり、「統合作戦司令官には、陸・海・空幕長と同格の階級『将』を配置」することになっています。現場指揮官の各自衛隊の将を束ねるポジションであることから、1つ上の大将格がふさわしいでしょう。

出典:陸上自衛隊HP

自衛隊の佐官について

佐官は、上級士官として戦術レベルの部隊や組織の指揮を担当します。各自衛隊における佐官の役割を見てみましょう。多くの幹部自衛官が佐官で退職することになり、自衛隊のイベント等に赴いたときに会うことのできる最高位の自衛官がこの佐官クラスとなります。

  • 陸上自衛隊の佐官
    • 1等陸佐:連隊長クラス。イベントでもほとんど見ない。
    • 2等陸佐:副連隊長や大隊長クラス。イベントでたまに見かける。
    • 3等陸佐:中隊長クラス。イベントで見かけると中間管理職の印象がある。

自衛隊の尉官について

尉官は、中級士官として部隊の指揮や特定の任務を担当します。幹部学校卒業直後の自衛官が多く、年上の部下を持つことになるため、苦労も多いポジションです。曹士から昇任したたたき上げの幹部もおり、年齢層も幅広いです。

  • 陸上自衛隊の尉官
    • 1等陸尉:大卒だと卒業5年で昇任する。部署レベルの長。
    • 2等陸尉:3尉から2年くらいで昇任。小部署の長。
    • 3等陸尉:ここから幹部と呼ばれる。

准尉

自衛隊の准尉について

准尉は、士官と下士官の間に位置する階級で、専門的な知識や技能を持っている職位です。

  • 陸上自衛隊の准尉
    • 准陸尉:専門的な技能を持つ役職で、特定の技術や戦術の指導を担当します。

出典:陸上自衛隊HP

自衛隊の曹について

曹は、下士官として部隊の指導や管理を担当します。鬼軍曹という言葉がありますが、まさしく百戦錬磨の現場指揮官といったポジションです。士の指導を行いつつ、幹部との橋渡しも行う自衛隊の要のポジションです。

  • 陸上自衛隊の曹
    • 陸曹長:現場の最高レベルの指揮官として、1曹から選任される。
    • 1等陸曹:幹部以外の多くの自衛官が定年を迎える階級。
    • 2等陸曹:3曹から数年~10数年かけて昇任する。部隊の中核となるベテラン隊員。
    • 3等陸曹:士長から昇任するか、一般曹候補生として採用されるとこの階級からスタート。

自衛隊の士について

士は、2年前後の任期制の隊員です。曹に昇進するには昇任試験を突破する必要があります。

  • 陸上自衛隊の士
    • 陸士長:1士を1年経験すると昇任する。
    • 1等陸士:2士を約6か月務めると昇任する。
    • 2等陸士:3か月の基礎教育後に任官される。

結び

今回は、自衛隊の階級制度ついて解説しました。自衛隊の階級制度は、隊員の職務や責任を明確にし、組織の効率的な運営を支える重要な要素です。
この記事を読んだあなたは、次回テレビやイベントで自衛官の階級を見たときにどのクラスの方なのか分かるようになりましたね!
また次回の記事でお会いしましょう。

  1. 出典:自民党HP ↩︎
タイトルとURLをコピーしました