【島嶼防衛用高速滑空弾】自衛隊が装備予定の新型ミサイル初発射!

軍事ニュース

2024年7月4日、日本国防衛装備庁が陸上自衛隊向けの新型ミサイルである”島嶼防衛用高速滑空弾”の事前発射試験を行ったと発表しました。
島嶼防衛用高速滑空弾とは、防衛省が自衛隊向けに開発を行っている新型の弾道ミサイルで、陸上自衛隊に配備される予定です。

この記事を読んでわかること

  • “島嶼防衛用高速滑空弾”が何かが分かる
  • 自衛隊が整備中のスタンドオフ防衛能力が分かる
  • 高速滑空弾に類似した他国兵器が分かる
防衛装備庁公式X(旧Twitter)

高速滑空弾は2027年に配備予定の新型弾道ミサイル

“島嶼防衛用高速滑空弾”(以下、高速滑空弾)とは、日本の自衛隊向けに開発が行われている新型弾道ミサイルです。自衛隊は2022年に改定された安保3文書により、スタンドオフ防衛能力を保有することになっています。高速滑空弾はそのスタンドオフ防衛能力の一環として開発が進められています。
スタンドオフ防衛能力とは、日本に侵攻してくる敵対勢力の射程圏外から打撃を与えることが出来る兵器のことを指しています。そのため、必然長射程の兵器ということになりますが、この手の長射程兵器を日本は長年保有していませんでした。

出典:島嶼防衛用高速滑空弾の現状と今後の展望 | 防衛装備庁(2019年資料)

高速滑空弾は2段階に分けて開発が行われる計画で、現在開発中のBlock1と呼ばれる早期配備型は令和8年度(2025年)に配備予定です。その後に能力向上型のBlock2Aの配備が令和9年度に行われ、本命であるBlock2Bの開発を令和12年度までに実施する計画です。
出典:令和4年度 政策評価書(事前の事業評価)

高速滑空弾以外に自衛隊が導入予定のスタンドオフ防衛能力

高速滑空弾以外にもスタンドオフ防衛能力として整備が進められている装備があります。
・12式地対艦誘導弾(能力向上型)
・極超音速誘導弾
・米国製のトマホーク
ロシアによるウクライナ侵略や、台湾有事への懸念から日本は防衛費の大幅な増額を決定しています。
従来はもっていなかった長射程の兵器の配備を急ピッチで進めています。
陸・海・空の3自衛隊それぞれの保有兵器から発射が出来るように計画されており、抑止力の向上を狙っています。

他国に高速滑空弾に類似する兵器はある?

では、高速滑空弾に類似する兵器には何があるのでしょうか。Block1、Block2で大幅に射程が異なるため、それぞれみてみましょう。

Block1の射程は300~500kmと推測されています。短距離弾道ミサイルに分類されますので、類似兵器を調査してみました。
・MGM-140 ATACMS:アメリカ
・エリコ1:イスラエル
・9K720「イスカンデル」:ロシア
ATACMSはHIMARS・MLRSから発射されるミサイルで、ウクライナに供与されたことで話題になりました。
500kmという射程は、日本で考えてみると沖縄本島から南西諸島がカバーできる計算となります。

Block2の射程は2000~3000kmほどとかなり長射程化する予測です。中距離弾道ミサイルに分類されることになりますが、他国でも同種のミサイルは運用されています。
・火星12:北朝鮮
・DF-12:中華人民共和国
・アグニⅣ:インド
3000kmともなると、沖縄本島から北朝鮮、中国本土、南シナ海が射程圏になり、北海道の基地から沖縄方面の敵勢力に射撃することも可能です。スタンドオフの意味が分かりますね。

出典:沖縄県ホームページ

まとめ

今回は自衛隊向け新型弾道ミサイルである高速滑空弾について調査しました。昨今厳しさを増している安全保障環境ですが、状況を理解する手助けとなるように今後も記事を投稿いたします。

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